False Island (通称偽島)のEno.1127 ルフィナの裏の人の雑記や日記のアーカイブなどをだらだらと

2010

0702
「どっか─────────ん☆」
15隊との戦闘はキキの無邪気な笑顔で振り下ろした悪魔な槌の一撃であっさり勝負はついた。最後まで耐えていたシズクが膝を着いたというのに、ギルは大の字で寝転がったまま「いや~あんたら強いな」などと負けたと言うのに爽やかな笑い声をあげる。そんなギルの様子に膝をついていたシズクは呆れたように溜息を一つつくと、崩れ落ちるようにその場に横になった。

キキは器用に槌を片手で回して肩に背負うと、そんな二人の兵士ににこりと微笑んで口を開く。
「ごめんね~。ちょっとやりすぎちゃったかな?」
「まぁみねうちにしておいたから。許して頂戴ね」
ハリセンを左手にぱしぱしと叩きながら、ララも屈託のない笑顔で言った。
・・・・・・ハリセンはみねうちのほうが痛いと思うのはあたしだけだろうかとも思ったが、突っ込む元気も無かったので口を噤んだ。
「別に構わねぇさ。やらなきゃ俺達がお前達を潰すだけだからな。それにしても・・・・しっかり負けちまったなぁ?エキュオスちゃんよぉ」
「・・・シズクです。現状、話すのも疲れますからやめてください」
横たわったまま呟く2人。呆れたように口を開くシズクの声はギルとは対照的に力無い。性格の違う2人だからなんだかんだ言っても歯車がかみ合うのだろうか。呆れてはいるが、嫌そうな雰囲気は感じ取れない。一頻り笑ったあと、大きく深呼吸をしたギルが思い出したように口を開いた。
「あぁそうそう、俺を負かした冒険者さんよ。・・・・・・この島の秘密を知りたくねぇか?」
そう言って彼は不敵に微笑む。キキとララは顔を見合わせて首を傾げた。
「・・・・・・ギル、貴方何を。」
「いいじゃねぇか、勝者にはとことん勝者になってもらうってことでよぉ!」
不満の声を上げたシズクが黙るのを横目で見たギルは一瞬だけ優しい笑みを浮かべたように見えた。でもそんな表情も束の間、淡々と話し出す。
「・・・宝玉。あれな、揃えると財宝がどうこうじゃねぇーんだわ。あれを揃えてどっかに持ってくと、なんとなぁ~・・・・・・」
そこまで言ってギルらしい不適な微笑を浮かべ、
「・・・・・・過去を操れるんだってよッ」
白い歯を剥き出しにして笑う。シズクは目を閉じたまま口を開かない。
「うちのベルクレアのヘッドは、それでとんでもねぇことをするつもりなんだろうなっ、と!はい終わり」
言いながらギルは足を高く振り上げ、降ろした反動で身軽に立ち上がると、ついた砂を叩いて落とした。
「もう立ち上がれるのか・・・・本当はあんたら本気出してないんじゃないか?」
彼の話を聞きながら自分の怪我を治療していたあたしは、意外なほどに早いギルの復活に訝しげに尋ねる。ギルは何も答えずにお決まりの笑みを浮かべてあたし達を一瞥した。その視線を外すと、未だ倒れたままのシズクのそばへ歩み寄り、
「ほらいつまで寝てんだエキュオスちゃん。動かねぇと給料出ねぇぜぇ?好きなもん食えねぇぜぇぇ?」
手を差し出した。
大きく深呼吸をひとつして、
「・・・・・・・・・・・・ばなな」
小さく呟くと、シズクはその手を取り起き上がり、服についた砂を払い落とす。ギルはそのまま倒れた兵士を一人一人起こして回る。一人は蹴飛ばし、一人は踏み、一人は・・・・・・・なんだこのシズクとの対応の差は。ギルやシズクよりも手酷くやられているにも関わらず、さらに追い討ちをかけられている辺りがなんともかわいそうに見えてくる。
うめき声を上げながら何とか立ち上がる兵士達に心の中で合掌を送った。
「れでぃーふぁーすと?」
様子が楽しいのかキキがすっごくいい笑顔で呟く。仲間全員が立ち上がったのを確認すると、あたし達に向き直り、
「はい、勝者は行った行った!てめぇらがどうするか、楽しみにしてるぜ」
と捲くし立てて言うと、背中を向けて歩きだした。
「ちょっと待った」
背を向けるギルに、あたしは後ろから声をかける。彼は呼ばれたことに気がつくと、進めていた足を止めて首だけこちらへ振り返った。ギルが足を止めたことによって先に進んでいたシズクと15隊の兵士達も足を留めて振り返る。
「とことん勝者というなら、もう少し聞きたいことがあるんだが?」
「宝玉に関してなら、俺は今言った以上のことは知らねぇよ?」
あたしの問いの先を読んでか、ギルはこちらに向き直り肩を竦めると苦笑いを浮かべて答えた。
「そうじゃない。宝玉のことじゃなくてお前達の事だ」
ここまで言って、無表情だったシズクの瞳に敵意の色が差す。
「お前達は本当にベルクレアの兵士か?あたしの知ってるベルクレアの騎士団と大分かけ離れているように見えるんだが」
質問を投げかけると、ギルは悪魔のような笑みを浮かべて口を開いた。
「さてなぁ・・・・お前こそどうなんだ?」
「は?」
いきなり質問を返されてあたしは間抜けな声が漏れる。
「ベルクレアの兵士として訓練している記憶だって俺の中にはちゃんと残ってるんだが、それを証明するものは何一つ無いってことさ。お前はどうだ?自分を証明するもの、あるのか?その記憶が偽りのものでないと言い切れるのか?」
彼に言われて、あたしは絶句した。返す言葉が見当たらなくて足元に視線を落とす。
「俺達はただ与えられた任務をこなすだけだ」
そう言って再び背を向けると、後ろを向いたまま軽く手を上げて再び歩き出していった。
「・・・・・・・さってと。先に進もうか?ルフィナ」
大きく伸びをすると、キキは笑顔で言った。
「そうね。早く守るほどの美味しい飴玉ってものを見てみたいわ」
いつの間にか手のひらサイズに戻ったララが、キキの帽子の上に腰掛けて頷く。
飴玉か。
聞いただけではそのへんの露天で売ってたり、適当に作れるようなお菓子だが、何か不思議な力でもあるようなものなのだろうか?大きく溜息をひとつついて、あたしはキキ達の背中を追いかけた。
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False IslandのEno.1127 ルフィナの裏の人。
9月26日生まれの天秤座のO型。耳かきをこよなく愛する海洋生物。マイペースで気分屋な風来坊。お酒好きだが煙草は苦手。

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